被災地では震災から2度目のお盆を迎え
『Friends of the United Nations Sing for Smile Program』
が展開されている仮設住宅では、蝉の声と共に歌声が響いています。
そんな夏の一日、8月14日(火)
『Friends of the United Nations Sing for Smile Program』
の支援のために、「鳥取砂丘」等のヒット曲で知られる歌手の水森かおりさんが、大船渡市の杉下仮設及び綾里小学校を訪れ、被災地の皆様と交流致しました。
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水森さんの被災地訪問は、杉下仮設に入居している鈴木さんの震災エピソードを私どもの現地スタッフが聞き、それを聞いた水森さんが、"故郷に大勢の人が戻るお盆に、是非歌声を届けたい"という被災地の声に応えたことから実現しました。
鈴木さんは杉下仮設住宅の前自治会長で、震災後傷ついた故郷の役に立ちたいと大船渡市視議会選挙に立候補し、当選なさいました。鈴木さんも他の被災者同様、自宅も車も大勢の友人も失いました。
全ての財産を無くした鈴木さんに唯一残されたのは1台のカーステレオと水森かおりさんのCD数枚でした。悲嘆にくれる仲間たちと水森さんの歌を聞き、共に慰めあい、励ましあい、絶望するような心情から救われた…と語られていました。
今年のお盆は震災直後、水森さんの歌を歌った日々を思い出しながら過ごそうと思っていた時に、本人の歌声を聞けることになったのです。
現在、84戸の仮設住宅から成る杉下仮設に、小さくも立派なステージが用意され、住民の方々のカラオケ大会の途中、サプライズゲストとして登場した水森かおりさんに大きな拍手と歓声が上がりました。
"鳥取砂丘"、"松島紀行"、"幸せによりそって"などのヒットソングが披露され、水森さんの迫力有る歌声に合わせるように多くの人たちが歌い、被災者を励ます水森さんのジョークに共に笑う時間が刻まれました。
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次の訪問先である「綾里小学校」に向かう途中、震災と津波の傷跡が未だに残る現場を訪れた水森さんは、がれきと荒涼としたビルの跡地を見つめがら、「震災後大船渡市を訪れたのは初めてですが、テレビから流れる映像よりももっと厳しい現実が今もここにあることを感じ、言葉になりません…。こんな厳しく辛い現実の中でもお会いする人たち一人、一人が笑顔で接してくださることに感謝の気持ちで一杯になります。」と沈痛な表情で語られていました。
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綾里小学校では、毎年25歳になる綾里小学校の同窓生が実行委員会となり、企画から運営まで一切をおこなっている「第93回綾里同窓会生祭り」に特別ゲストとして参加いただきました。
当日の朝まで土砂振りだった天気も一転し、炎天下の下300名以上の人たちが、集まってくれました。
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綾里の里に水森さんの歌声が響き渡り、里に訪れた夏をみんなで満喫したひと時となりました。
被災地の皆様からは、「大船渡ではなかなか音楽の催しが行われず、いつも素通りさせています。それにCDを買いに行く場所も近くになく、今日は心から歌を楽しみました…」と感謝の言葉をたくさん頂きました。
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集まった人全ての方と握手をされた水森さんは「鈴木さんのエピソードから繋がった大船渡市とのご縁ですが、自分の歌声で励まされたと伺うと歌手という職業に誇りを持たせてもらい、反対にいつも励まされます。このご縁がこれからも続けていけるように、また歌のチカラで皆様が前向きで、元気な気持ちを取り戻して頂くお手伝いが出来れば…と思っております。
鈴木さんとの繋がりから始まった大船渡とのご縁ですが、自分の歌声で励まされた…と伺うと、歌手としての幸福感をこちらが頂いております。」と今後も活動へのご協力を申し出て頂きました。
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水森かおりさんプロフィール
1995年(平成7年)に「おしろい花」でデビュー。2002年(平成14年)に「東尋坊」がカラオケファンの支持を受けてメジャー歌手への足掛かりをつかむ。2003年(平成15年)「鳥取砂丘」が大ヒットしてブレークし『NHK紅白歌合戦』には9年連続出場中。また2005年(平成17年)には第47回日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞。2006年(平成18年)には「熊野古道」、2007年(平成19年)には「ひとり薩摩路」でベストヒット歌謡祭演歌・歌謡曲部門グランプリを2年連続で受賞した。「松島紀行」のヒットをうけて、2010年(平成22年)6月22日に「松島町観光親善大使」も委嘱された。 「ご当地ソングの女王」と呼ばれ「鳥取砂丘」のヒット以降、彼女の元には地方自治体などから地元を歌って欲しいという依頼が殺到している。
平成23年11月 山形県酒田市”酒田観光大使”に就任
平成24年4月 岐阜県”清流長良川親善大使”に就任
2012年9月25日(火)には、中野サンプラザホールにて、水森かおりメモリアルコンサート〜歌謡紀行〜が開催されます。
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仮設住宅の住居期限は2年となっておりますが、岩手、宮城、福島3県で、災害公営住宅(復興住宅)の着工が建設予定約2万戸の1%にとどまっており、いまだに約27万人が仮設住宅で避難生活を送っているのが現状です。
復興庁が毎月発表しております、復興計画書の『復興の現状と課題』の中でも、被災者の孤立防止と心のケアに関する取組が重要な課題となっており、被災地で行っております『被災者の自立とコミュニティーの活性化を促す』コンセプトは、被災により様々な困難と向き合う仮設住民にとって受動・能動的な支援の役割を担っております。
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国連の友は、復興住宅への転移時期がまだまだ明確にならない現時点に於いて、
様々な方法で被災地での"心のケア"活動に今後も取り組んで参ります。
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